現代ビジネスにも影響を与えたジレットの生み出したビジネスモデル『替え刃モデル』とは?

替え刃

プリンタ機のインクの交換しようとして、インクを店頭やサイトで調べると純正インクってものすごく高いですよね。

本体を安く売り、その後の消耗品やサービスで長く稼ぐビジネスモデルは、ジレットの替え刃式T字型カミソリが始まりなんです。


今回は、現代でも多く採用されているビジネスモデル「替え刃モデル」を紹介していきます。

目次

替え刃モデルジレットとは?


アメリカのキング・ジレットが本体ではなく、使い捨ての変え刃で儲ける安全カミソリを特許出願し1903年に商品化しました。

本体を安く売り、その後の消耗品やサービスで長く稼ぐ「替え刃モデル」は現代でも多くの商品に採用されることになります。

メーカー本体消耗品サービス
任天堂家庭用ゲーム機ゲームソフト
携帯キャリアスマートフォン通話・通信料
HPインクジェットプリンタインク・トナー
ネスレコーヒーメーカーコーヒーポッド
カーディーラー自動車車検・メンテナンス
替え刃モデルを応用したサービス


日本では、任天堂や携帯キャリアなど多くの企業が「替え刃ビジネスモデル」を引き継いでいます。

替え刃ビジネスモデルは使われて捨てられていくフタをヒントに生まれた

使い捨て製品を発売すれば客が安定する


ジレットは当時働いていた王冠メーカーの社長から『使い捨て製品を発売すれば客が安定する』とアドバイスを受けます。

フタ


ジレットは四六時中考え続け、1895年、出張先でカミソリを砥いでいるときにひらめきました。


「なんでこんな厚いカミソリを毎回砥がないといけないのだろう?
時間も労力もかかる、刃を薄くして安くすれば使い捨てにできるはずだ!」

と刃を薄くして使い捨てにするアイデアが生まれました。

固い鋼鉄を薄く延ばすという難問を超えて薄い鋼鉄の刃を手に入れ、6年後にできたのが「替え刃式T字型カミソリ」でした。

T字型カミソリ

さっそく発売するものの、初年度の本体販売数はたったの51個、替え刃は168枚だけで在庫の山が積み重なり失敗に終わりました。

替え刃式のカミソリは、新しすぎて認知度が低く、まったく売れなかったのです。

雑誌や新聞で大々的な宣伝キャンペーンを打って販売数を増やす


ジレットはめげずに、米欧の男性向け雑誌や新聞で大々的な宣伝キャンペーンを打って販売数を増やしました。

新聞

その効果は大きく、1904年には本体9万個、替え刃12万枚を売り上げました。

さらに1918年には本体売り上げは100万個、替え刃は120倍の1億2,000万枚売り上げました。

第一次世界大戦後には、ジレット製品のカミソリがアメリカ軍兵士の個人用装備として正式採用され「替え刃式T字型カミソリ」はアメリカ男性の常識となりました。

ジレットに襲い掛かる特許侵害の訴訟

訴訟

上手くいったかに見えたジレットを襲ったのは特許侵害の訴訟でした。多くの企業や個人がジレットの特許を無効だ!侵害だ!と訴えたのです。

ジレットの偽物や、質の悪い類似品が市場にあふれていましたが、ジレットは「競争力を維持するには特許で守るしかない」と辛抱強く戦い、相手企業を買収して黙らせることに成功しました。

特許制度とは


特許制度とは、17世紀のイギリスで生まれました。

イギリス議会は、「専売条例」を制定し、発明や新規事業に対して14年の独占権を認めたのが始まりです。※現代では特許権は20年となっています。

特許制度という安定的制度が生まれたことで、イノベーションに向けた投資がなされ、「産業革命」につながりました。

特許がないと、お金のない発明家が発明しても軌道に乗る前に大企業にマネされてしまい、お金のない発明家が儲けられる期間が少なくなってしまいます。

特許制度は、いいアイデアを出した小さい会社が大資本会社に負けて消えてしまうことを防いでいるのです。また投資した側も利益が守られるので、イノベーションを加速する役割を果たしています。

特許こそ競争力を維持する道

ジレットは、「2枚刃」に代表される発明を続け、特許申請をし続けました。

特許こそが、競争力を維持する道だと信じていたからです。2005年の売り上げは、1兆円超、利益率は25%になりました。

日本では任天堂や携帯キャリアが「替え刃ビジネス」を引き継いでいる

ジレットの替え刃ビジネスモデルを任天堂もマネしている

実は、ジレットの替え刃ビジネスモデルは任天堂もマネしているのです。

ゲーム機本体は市場を広めるために安く売り、ゲーム機が普及するまでは自社開発ソフトのマリオやドンキーコングなどの人気ソフトを発売します。

その後、ゲームソフト会社が開発したソフト5,800円からロイヤリティなどで収益を上げるのです。

ジレットの替え刃ビジネスモデルを携帯キャリアもマネしている

ドコモ、au、ソフトバンクも同じように、ジレットの替え刃ビジネスモデルをマネしています。

携帯電話端末を安く消費者に購入させた後に、データ通信費や通話料などで長い期間収入を得ることが出来ます。

市場を広めるために、本体を安く売ってから替え刃(ソフト)を高く売り続ける方法は、現代でも引き継がれているビジネスモデルでした。

最後に

今回は、現代でも多く採用されている「替え刃モデル」を紹介しました。

替え刃モデルとは、アメリカのキング・ジレットが生み出した本体ではなく使い捨ての変え刃で儲けるビジネスモデルです。

本体を安く売り、その後の消耗品やサービスで長く稼ぐ「替え刃モデル」は現代でも多くの商品に採用されています。

どれも、わたしたちが体験したことのあるサービスばかりでした。

ビジネスモデルを学ぶことによって、社会の裏側を知ることが出来ます。明日から、友人家族に替え刃モデルのお話をしてみてくださいね。

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