コピー機は、会社にないと仕事にならないくらい重要なモノですよね。
でかいコピー機は高額なのでリース(貸し出し)が当たり前になっています。
今回は、ゼロックスが開発し普通紙コピー機が世に広まるきっかけになった『従量制課金モデル』について紹介していきます。
追い込まれたゼロックス
ライバルに売り上げを奪われる
1940年代ゼロックスは、苦境に陥っていました。
ゼロックスは、写真の印画紙を製造していましたが、大手のコダックに比べると小さな会社で、第二次世界大戦後には富士フィルムなどのメーカーがコダックの市場を奪っていたからです。
社長のジョセフ・ウィルソンは、コダックや富士フィルムとは競合しない、写真関連の新技術を見つけるように技術部長に指示を出しました。
新技術「電子写真法」の発見
社長の指示のもと、技術部長が見つけてきた技術が「電子写真法」でした。
◆電子写真法とは
〘名〙 半導体面の光導電性と静電気現象を組み合わせて行なう写真法。光導電物質の表面にコロナ放電などで電荷を与えると、像の露光によってこの電荷が放電して静電気像が得られるので、これに微粉体(トナー)を付着させて現像を行ない、紙に伝写して加熱・定着する。現像の方法により湿式・乾式の別があり、複写機に応用される。ゼログラフィー。
コトバンクより引用
さっそく電子写真法を開発したバテル研究所と契約を進め、製版機「モデルA」を開発し大成功をおさめます。
印画紙メーカーからサービスメーカーへの転身
売り切りではなくリース方式へ
成功したゼロックスは、売り切りのビジネスモデルだけではなく、リース式(貸出)を導入しようとしました。
ジョセフ・ウィルソンの考えたリース方式だと、販売後もすぐには収益にならず、資金繰りは大変になるので部下から反対されましたが、だからこそ他社がマネできなくて儲かると踏んだのです。
サービス部門の立ち上げ
さらにサービスセンターを作り、大手顧客に対する直接販売・サービスという仕組みを作り上げました。
1959年、ゼロックスが発明した普通紙複写機「914」は、一般事務用複写機レベルになったのです。
問題点を解決した『従量制課金モデル』
競合メーカーとは違うビジネスモデルを目指す
ゼロックスの開発したコピー機は、性能が良いのですがその分本体価格がものすごく高くなっていました。
他社は、「湿式方式」とよばれる色が褪せてしまう質の良くない方式ばかりで、メーカーは本体を安く売り、その後の特殊な専用複写用紙で儲ける「替え刃モデル」を採用していました。
そこでゼロックスは、新しいリース方式を考えました。
使った分だけ払う「従量制課金モデル」
基本料金は95ドルで(約10,000円)で月の複写枚数は2000枚まで基本料金に含まれているが、それを超える分については1枚あたり4セント(約1円)を徴収することにしました。
決められた量より多く使った分だけ課金する『従量制課金モデル』です。
現在の携帯キャリアがデータ通信料サービスで行っている、一定数を使ったら課金して使えるようにする仕組みと同じですね。
ゼロックスの強みは『1100の特許数』
特許侵害対策
ゼロックスは、複写機というモノを売る企業から複写サービスを提供する会社になりました。
ゼロックスの強みは他にもたくさんあります。
コピー機の特許数が1100件以上あるので、他社がマネしようと商品開発してきても、活用しようとした技術が地雷のように特許侵害に当てはまるので真似できなかったのです。
顧客を官公庁と大手企業に絞る
ゼロックスは、顧客ターゲットを複写機を使う機会の多い官公庁と大企業に絞り圧倒的な高収入を得ることに成功しました。
おかげで、ゼロックスは普通紙複写機(PPC)市場では100%のシェアを獲得して天下を取ったのです。
最後に
今回は、ゼロックスが開発し普通紙コピー機が世に広まるきっかけになった『従量制課金モデル』について紹介しました。
ゼロックスは、大手のコダックに比べると小さな会社で、第二次世界大戦後には富士フィルムなどのメーカーがコダックの市場を奪っていました。
社長のジョセフ・ウィルソンは、コダックや富士フィルムとは競合しない、写真関連の新技術を見つけるように技術部長に指示を出し「電子写真法」を見つけ普通紙複写機を開発しました。
その後、官公庁や大企業向けに高額なコピー機をリースし、決められた量より多く使った分だけ課金する『従量制課金モデル』で大成功しました。
またゼロックスは、1100もの特許を押さえたので競合他社はコピー機市場に参入できなくなり1人勝ちすることが出来ました。
オフィスで使われている大型コピー機が普及したのはゼロックスの『従量制課金モデル』がきっかけだったのです。