セブンイレブンって、誰しもが行ったことありますよね。
セブンイレブンは、アメリカのサウスランドという会社が元締めで、日本にノウハウを教えてくれていたのですが、経営が悪化して倒産してしまいました。
そこで教え子であったイトーヨーカ堂の鈴木敏文さんが買い戻しました。
今回は、業界NO.1のセブンイレブンから学ぶ『ドミナント・モデル』について紹介していきます。
セブンイレブンの成り立ち
名前の由来は営業時間
1927年、アメリカのテキサス州で世界最初のコンビニエンスストアが砂漠の真ん中の町で生まれました。
もともとは、商売熱心な氷屋さんが生活必需品も扱うようになったのが始まりです。
アメリカのサウスランドという会社が元締めであり、朝7時から夜11時まで16時間営業していたためセブンイレブンと名前が付きました。
フランチャイズ・システム
1960年代になると、身近な便利を提供するコンビニエンスストアがアメリカ全土に広まりました。
本部主導の「フランチャイズ・システム」が飛躍の原動力になったからです。
「フランチャイズ・システム」とは、本部が仕入れと運営ノウハウを一括管理することで加盟店オーナーのやる気と資本を活用して素早い展開が可能となるビジネスモデルのことです。
イトーヨーカ堂がセブンイレブン日本1号店出店
イトーヨーカ堂がコンビニ事業に
1974年の日本では、「大規模小売店舗法」が成立し、イトーヨーカ堂のような大規模店と地元商店街の小売店が共存することが社会的なテーマになっていました。
◆「大規模小売店舗法」とは
店舗面積500平方m以上の大規模小売店舗の出店に伴い、周辺の中小小売業者の事業活動の機会を保護することを目的に、出店規模や営業時間・日数等について調整する法律。
そこでイトーヨーカ堂の鈴木敏文は、アメリカのセブンイレブンのノウハウを得て、大規模店舗と小売店(コンビニ)の両面で事業展開することを思いつきます。
日本では使えなかったアメリカ式ノウハウ
鈴木は、社長の許可を得てサウスランドからフランチャイズ権を獲得しました。
ところが、サウスランドから提供されたノウハウのほとんどは、日本で使えなかったものでした。
鈴木は、サウスランドでの1か月研修中「原則を理解したうえでどうやって異なる環境である日本に適用するか」を考えていました。
◆サウスランドの教え
・ハンバーガーなどのファーストフード必ず売るべし
⇒おにぎりや肉まん、あんまんを売る
・直営店が6割でフランチャイズは4割
⇒第1号店からフランチャイズにする
・商品は自動発注
⇒自動発注は精度が悪いので、店舗オーナーが発注する
アメリカのセブンイレブンからノウハウを学びつつ日本の文化に合わせたオリジナル要素を導入していきました。
サウスランドから学んだ日本式セブンイレブン
3つの優秀な教えだけはしっかり残す
日本版セブンイレブンを生み出した鈴木は、サウスランドから受けた3つの教えだけは原則変更しませんでした。
◆サウスランドから学んだ3つの原則
①流通センターによる一括納品
②本部による事務代行
③本部フィールドカウンセラーによる経営指導
コンビニエンスストアは3,000アイテム弱を扱いますが、商品の幅はGMS(総合スーパー)並みに広いので、各問屋メーカーより個別に納品を受けていては手間とコストがかかります。
そのため日本のセブンイレブンは、独自の地域流通センターにすべて集約しました。
店頭在庫を山積みになることもなく、流通センターをもとに多品目を混載させて店舗ごとに必要な分だけ納品することができるようになりました。
欠品による販売ロスや、過剰在庫を抱える危険がなくなったのです。
店舗側の改革
店舗側の仕事効率アップのために、1982年POS(販売管理)やEOB(発注端末)の開発にも成功したおかげで、売り上げ・在庫管理・伝票処理業務が簡単にできるようになりました。
また、フィールドカウンセラーの持ち店舗数は最大8店舗にして各店舗の経営指導に集中できるように増員し、徹底的な研修と訓練を行いました。
ドミナント・モデル
地域支配のビジネスモデル
ドミナントとは、支配という意味です。
日本のセブンイレブンは、半径十数kmの中に数十店舗を存在させることで物流も総菜の生産も経営指導も広告宣伝も格段に効率化させました。
ドミナント戦略の優れたポイント
ドミナント・モデルを1度確立すれば、広告費・人員確保・教育・商品供給・リサーチも同じ範囲で展開できるので優位になります。
同じようなドミナント・モデルを展開し成功したのが、アメリカのディスカウントストア大手「ウォルマート」でした。
サウスランドの倒産
本家の倒産
日本のセブンイレブン店舗が増えるのとは逆に、アメリカのサウスランドは経営破綻してしまいます。
ウォルマートらのディスカウントストアに対抗するために勝てるわけのない安売りをしてしまったのです。
今でいうところの、スーパーと戦うためにコンビニが商品の値段を安くして勝負しようとしたのですから負けてしまいますよね。
同時に、自動発注システムの失敗で売れないものが狭い店頭にあふれてアイテム数が減り顧客がドンドン離れてしまった結果でもあります。
サウスランドの失敗から学ぶ日本のセブンイレブン
鈴木は、「買いたいものがいつでも近くにあるという利便性にこだわらないとダメだ。それがコンビニエンスストアの最大の価値だ。」と言いました。
サウスランドの失敗に学んだ日本のセブンイレブンは、売れ残りを出さず、品切れも起こさないように「単品管理」をし始めました。
単品管理とは、文字通り単品ずつ売れ行きを管理するということです。
アイテムの売り上げが上がらなかった理由を1品ずつ検証し、顧客のニーズを詳細に分析するようにしました。
日本セブンイレブンは、「全店舗・毎日・全品」単品管理を行うことで売り上げを伸ばし続けたのです。
1991年には、セブン-イレブン・ジャパンは、サウスランドを買収し、海外のセブンイレブンを傘下に収めました。
鈴木がサウスランド幹部に最初に行ったのは「単品管理」の実地研修だったのです。
最後に
今回は、セブンイレブンから学ぶ、集中出店と流通センターによる一括納品『ドミナント・モデル』を紹介しました。
イトーヨーカ堂の鈴木敏文は、アメリカのセブンイレブンのノウハウを得て、大規模店舗と小売店(コンビニ)の両面で事業展開することを思いつきます。
アメリカより良いノウハウは素直に吸収し、日本版として修正するだけではなく、さらに発展させることにより大成功しました。
成功した大きな理由の1つである、ドミナント・モデルとは、半径十数kmの中に数十店舗が、存在することで物流も総菜の生産も経営指導も広告宣伝も格段に効率的になることでした。
最終的には、教えてもらう側だった日本のセブンイレブンが、本家を買収するまでになりました。
全都道府県に出店し、全国約2万の店舗数を誇るセブンイレブンに興味をもって行ってみてはいかがでしょうか♪